要約 百成ら(2012)

茨城県北浦のヨシ帯で採集されたハゼ科2種の仔稚魚の形態と季節的出現

百成渉・碓井星二・加納光樹・荒山和則

 

要約 2009年4月から2010年3月に茨城県北浦のヨシ帯で採集された標本に基づいて,トウヨシノボリとヌマチチブの仔稚魚の形態的特徴を記載した.第二背鰭・臀鰭軟条数がトウヨシノボリ仔稚魚ではともに7~8本であるのに対し,ヌマチチブ仔稚魚では10~11本であることで区別された.両種は臀鰭・尾鰭基底の黒色素胞パターンでも容易に識別することができた.調査期間中に採集されたハゼ科魚類は計5種3,959 個体であり,その個体数の約90%をトウヨシノボリとヌマチチブが占めていた.トウヨシノボリは夏季に主に出現したのに対し,ヌマチチブは1年を通じて出現した.

日本生物地理学会会報,67: 121-131.2012年12月.