要約 Murakami-Sugihara et al. (2012)

Genetic structure of the exotic hard clam Mercenaria mercenaria in Tokyo Bay, determined using mitochondrial DNA

Murakami-Sugihara N, Furota T, Okamoto K

ミトコンドリアDNAを用いた東京湾における移入種ホンビノスガイMercenaria mercenariaの遺伝的構造解析について

杉原奈央子・風呂田利夫・岡本 研

 

要約 北米東海岸を原生息地とする大型二枚貝ホンビノスガイMercenaria mercenaria は1990年代後半に東京湾に移入した外来種である。本種の移入源および移入手段は不明であることから、遺伝的構造を明らかにし、移入源を推定するために、本種が生息する東京湾奥部の5ヶ所から個体を採取し、ミトコンドリアDNAのCOI領域(528 bp)を解析した。また既知の原産地データと比較を行った。東京湾ではすべての地点でハプロタイプ1、ついでハプロタイプ3の出現頻度が高かった。この傾向は原生息地である北米東海岸と同様であった。お台場、船橋、横浜のハプロタイプ多様度は原生息地と同様に高かったが、新富運河と京浜運河では低かった。これは東京湾内における分散の可能性を示唆している。統計解析の結果を総合的に考察すると、東京湾個体群の遺伝的構造はフロリダ半島のものと類似していることが示された。

Fisheries Science, 78: 569-575. 2012年5月.

 

ホンビノスガイ3

東京湾のホンビノスガイ