要約 遠藤ら(2015)

茨城県北浦の沿岸帯におけるチャネルキャットフィッシュの摂餌特性

遠藤友樹・金子誠也・猪狩健太・加納光樹・中里亮治・亀井涼平・碓井星二・百成渉

 

要約 チャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusの摂餌特性を明らかにするために,2013年4月から10月の夜間に茨城県北浦の爪木地先と大船津地先の水深1.2 mより浅い沿岸帯で餌釣りと投網で採集した268個体(体長14.7~59.1 cm)の胃内容物を精査した.30分間当たりの釣獲数は,護岸帯よりもヨシ帯で多かった.本種の餌は,小型魚類,底生・半底生甲殻類,大型魚類の断片(肉片,鱗,骨など),陸上植物片,水生・陸上昆虫,糸状藻類などであった.それらの中には,本調査地でヨシ帯に主に生息するヌマチチブ,モツゴ,テナガエビ,付着性ユスリカ類(ハイイロユスリカ,メスグロユスリカ,ツヤユスリカなど)などの様々な在来生物が含まれていた.これらのことから,チャネルキャットフィッシュは夜間にヨシ帯で利用できる餌生物を主に摂餌していると考えられた。本種は捕食や餌資源をめぐる競争によってヨシ帯に同所的に出現する在来魚に影響を及ぼしているおそれがある.
水産増殖, 63: 49-58.2015年3月.