要約 Kawaida et al.(2019)

Cellulose digestion abilities determine the food utilization of mangrove estuarine crabs

Kawaida S, Nanjo K, Ohtsuchi N, Kohno H, Sano M

セルロース分解能がマングローブ域のカニ類の餌資源利用を決める

川井田俊・南條楠土・大土直哉・河野裕美・佐野光彦

 

要約 沖縄県西表島浦内川のマングローブ域において,3つの微細生息場所(砂干潟,泥干潟,マングローブ林内)に優占して生息するカニ類6種の炭素・窒素安定同位体比とセルロース分解酵素活性を調べた.その結果,砂干潟に優占するミナミコメツキガニや泥干潟のミナミヒメシオマネキなど,多くの種はセルロース分解能が低く,消化が容易で栄養価の高い底生微細藻類を主な餌としていることがわかった.その一方で,マングローブ林内に優占するフタバカクガニはセルロース分解能が高く,難分解性のセルロースを豊富に含む植物性有機物(マングローブ由来のデトリタスや落葉など)を餌としていた.また,調査地の堆積物中におけるデトリタス量は砂干潟や泥干潟よりもマングローブ林内で多く,底生微細藻類量はその逆であった.以上のことから,セルロース分解能の違いに起因する植物性有機物の利用効率の違いが,マングローブ域のカニ類の餌資源利用と棲み分けを決める要因の1つであることが明らかとなった.

Estuarine, Coastal and Shelf Science, 222: 43–52. 2019年6月.